田舎暮らし最高!

田舎で体験する感動シーンを届けたいです。

おのぼりさん時代

つねじいさん

東京。東京か……?

いま田舎の片隅で細々と野菜を作っている老人を見て、

東京都と紐づけする人は、まずいないのは確実だ。

しかし、老人も若かりし日はあった。

燃え盛る青春時代もしっかりと体験している。

東京がものすごく身近だったのは、そのころだ。

最初に東京に触れたのは、中学校の卒業旅行。

二度目は社会人二年目。

書店で働き、

全集本の販売成績が良くて、

招待されて集英社の本社を訪問することになった。

本好きだったので、

出版社訪問で感激も頂点に達したものだった。

一週間も東京にいると、

手の届かない憧れの大都会も、

普通のまちになっていた。

アマチュア劇団参加をすると、

東京は、もう特別な存在ではなくなった。

下北沢や渋谷など、

芝居を見るために躊躇なく足を運んだものである。


最後になった東京行きは、

中野のサンプラザ。

あるエッセイコンテスト公募に入賞しての授賞式参加だった。

交通費・宿泊費付きで招待されての表彰。

賞金を頂くという嘘みたいな上京となった。


あれ以来、東京は手の届かない存在に。

加齢で目が悪くなり、

歩くのに不安を覚えるようになったからだ。

別公募の表彰式招待も諦めて断るしかなかった。


先日白内障の手術を受けて、

目の心配はなくなったが、

東京を歩き回ることが怖くなってしまったのだ。


いま田舎で刺激のない暮らしの中、

時々、東京に足繁く通った青春時代を思い出し、

にやついてしまう老人を演じている。